期待される大豆の機能性

期待される大豆の機能性

大豆を食べている人と食べていない人。じつは両者に、ちがいがありました。

大豆の消費が多い地域では、心臓病や骨粗しょう症、乳がん、前立腺がん、ホットフラッシュといった症状のリスクが(大豆消費の少ない地域にくらべて)小さいことが知られています。

大豆のおもな成分

大豆は畑の肉ともいわれ、重要なたんぱく質の供給源になっています。大豆は、その大きさや色などの違いに応じてたくさんの種類があります。
大豆にはタンパク質、炭水化物、脂質のほか、ビタミン、ミネラル、食物繊維がふくまれています。

そのほか、大豆には、微量成分として、サポニン、レシチン、大豆イソフラボンなどがふくまれています。

大豆の主要成分

 たんぱく質炭水化物脂質水分灰分
国産大豆35%28%19%13%5%

※5訂日本食品標準成分表より

大豆イソフラボンやそのほかの大豆成分

大豆にふくまれるイソフラボンは、ポリフェノールに分類される成分の1つで、健康増進効果や疾病予防効果が注目されています。

大豆イソフラボンは、エストロゲン(女性ホルモン)と構造が似ていることから、植物性エストロゲンとも呼ばれています。乳がん、骨粗しょう症、高コレステロール血症、心疾患などの予防効果が報告されています。

大豆や豆腐などにふくまれる大豆イソフラボン量

食品大豆イソフラボン量(食品100g中)
大豆247.8mg
みそ59.1mg
しょうゆ1.0mg
きぬごし豆腐38.0mg

※農林水産省による試算値

また、大豆は、イソフラボンだけでなく、大豆たんぱく質や大豆ペプチド(大豆たんぱく質の酵素分解物)、大豆オリゴ糖なども注目されています。

大豆に期待されている生体調節成分

成分提唱されている効果
たんぱく質(ペプチド)

血中コレステロール低下作用

血圧上昇抑制

抗酸化

肥満防止

脂質

善玉コレステロールの増加

脂質代謝の改善

記憶力・集中力の増加

大豆オリゴ糖

食物繊維

ビフィズス菌増殖作用

整腸作用

イソフラボン

細胞のがん化抑制

がん細胞の増殖抑制

骨粗しょう症の緩和

更年期障害の緩和

大豆と加齢による各種症状の緩和

わたしたち人間の骨量は、加齢によるホルモンバランスの変化や、ミネラルを吸収する能力、運動量の低下などによって減少します。女性の場合は、50歳前後にエストロゲンの分泌が低下することで、骨量が減少するといわれています。

このことから、エストロゲン様作用(エストロゲンと似た構造・作用)を示す大豆イソフラボンが、骨の健康の維持やホットフラッシュ(急に顔が熱くなったり、汗が止まらなくなったりすること)に有効だと考えられています。

大豆オリゴ糖と腸内環境

腸内環境は、免疫力、アレルギー、自閉症、メタボリックシンドロームなどさまざまな面で、健康に関係しているといわれています。

腸内の乳酸菌やビフィズス菌は善玉菌の一種で、腸内環境を整えるために有用な菌です。
腸内の善玉菌のおもな栄養源は、食物繊維やオリゴ糖です。オリゴ糖をエサにしてビフィズス菌は増殖します。

大豆には大豆オリゴ糖がふくまれていて、ビフィズス菌の栄養源になります。大豆オリゴ糖を摂ることで、腸内のビフィズス菌が増えて腸内環境を改善することができます。

大豆オリゴ糖1g/日を2週間摂取したところ、便秘傾向があった人の排便回数とビフィズス菌数がともに増加したという報告があります。便秘傾向がある人の場合、大豆オリゴ糖は、少量の摂取でも便性状の改善が期待できます。

大豆食品と健康

大豆食品は、タンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養成分を豊富にふくむ重要な栄養源の1つです。
日本でおこなわれた調査では、通常の食生活で大豆食品を食べることは、まったく大豆食品を食べない場合にくらべて、健康に有益であると示されています(※大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A:農林水産省の報告による)。

また、厚生労働省が推進している21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)では、大豆をふくむ豆類は、1日100g摂取することを目標として示しています。

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