レスベラトロールとアンチエイジング
レスベラトロールは、赤ワインやぶどうの果皮、ピーナッツの薄皮などにふくまれるポリフェノールの一種です。
レスベラトロールは、サーチュイン遺伝子を活性化することでも知られています。サーチュイン遺伝子は、長寿遺伝子とも呼ばれていて、活性化させることでマウスなどの寿命が伸びることが報告されています。
1930年ごろには、カロリー制限すると寿命がのびることが、すでに研究で報告されていました。
その後、1980年にいたるまでの研究で、ハエ、マウスなどの実験からカロリー制限の寿命延長効果が証明されたとされています。
ただ、そのころはまだ、どのようなしくみで寿命がのびるのかよくわかっていませんでした。
のちになって、カロリー摂取を制限した酵母は、そうでな酵母よりNADという補酵素の量が増えてサーチュインが活性化されていることがわかってきました。
サーチュインには、SIRT1、SIRT2・・・SIRT7までの7種類が見つかっています。これらのなかで、レスベラトロールは、SIRT1を直接的に活性化するといわれています。
酸化ストレスとレスベラトロール
人が老化する理由、ひらたくいうと、人にはみんな寿命がある理由は、まだわかってはいませんが、いくつもの説があげられています。
✔ 細胞分裂するときの遺伝子が損傷する
✔ 細胞分裂できる回数に制限がある
✔ 免疫力が下がる
✔ 酸化ストレスが蓄積する
もちろん、どの説も老化のすべてを説明できるにはいたっていませんが、酸化ストレスが蓄積する説は、老化の側面を説明できているのではないかと考えられています。
鉄がサビ(酸化し)てもろくなってしまうのとおなじように、人のからだも酸化することでサビてしまいます。
酸素を使ってエネルギーをつくりだしている人のしくみ上、酸化からは逃れられないといえます。
実際に、酸素をとりいれてエネルギーをつくるたびに、そのとりいれた酸素のおよそ1〜3%ほどが活性酸素になってからだを傷つける要因となってしまっています。
活性酸素はからだにとって毒性のつよいものです。活性酸素は、体内の代謝過程において様々な成分と反応し、過剰になると細胞傷害をもたらします。
からだには抗酸化防御機構があって、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなどの抗酸化酵素がはたらいています。
また、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなど食事から摂取できる抗酸化物質もあります。
活性酸素の産生が過剰になり、抗酸化のバランスがくずれた状態を酸化ストレスといいます。
通常、我々の生体内では活性酸素の産生と抗酸化のバランスがとれているはずですが、紫外線、放射線、大気汚染、薬剤の摂取などにより酸化ストレスが引き起こされます。
こういったことから、健康のためには、バランスのいい食事、適度な運動習慣、十分な睡眠など酸化ストレスを防止することがたいせつとされています。
レスベラトロールはポリフェノールの一種で、ビタミンCやビタミンEとおなじように高い抗酸化力をもっています。
レスベラトロールの複合的な作用
レスベラトロールは、スチルベン類に属するポリフェノールです。サーチュインをもっとも活性化させるポリフェノールの1つとしてあげられます。
レスベラトロールが注目されているのは、ポリフェノールとしての抗酸化にくわえてサーチュインの活性化が報告されていることです。
レスベラトロールに関するさまざまな研究がおこなわれています。
世界各国の研究機関によって研究され、肥満、糖尿病、がん、認知症、白内障、EDなどの予防に効果が認められたという報告が数多くあり、その効果が期待されています。
レスベラトロールは、AMPキナーゼという酵素を活性化させることでも知られています。AMPキナーゼは、からだのなかでエネルギーを生成するのに関係している酵素です。
人は、細胞内のエンジンともいわれることのあるミトコンドリアで酸素とグルコース(糖)を使用して、ATP(アデノシン三リン酸)をつくっています。グルコースなどの材料が不足して必要なATPがつくれなくなると活動が止まってしまう可能性があってとても危険です。
そんな危険な状態にならないように、からだにはAMPキナーゼとよばれる酵素が存在しています。
AMPキナーゼは、運動などで栄養が不足しているときに脂肪細胞の脂肪からATPをつくることをたすける酵素です。
レスベラトロールを摂取することでAMPキナーゼが活性化すると、脂肪細胞からエネルギーをつくることができ、人の健康にとってはプラスに働くことが期待されています。
糖化とレスベラトロール
糖化とは、血液中にある糖がたんぱく質や脂肪と結びつくことをいいます。老化促進物質であるAGE(糖化最終生成物)をつくってしまうことになります。
AGEが増えると、酸化や炎症が誘発されてまわりの細胞をどんどん老化させていきます。
血液中にある糖の量を適切にたもつことができていないと、糖化がおこりやすくなります。
血管の組織が糖化すると、とても血管がもろくなって血管壁が炎症しやすくなります。これによって動脈硬化のリスクが高まります。動脈硬化は、心筋梗塞や脳梗塞と関係しているため、深刻な症状を引き起こしかねません。
そのほか、糖化は、骨粗鬆症、白内障、網膜症などのリスクを高めているといわれています。
レスベラトロールは、インスリン抵抗性をおさえて、血糖値をコントロールする働きがあるとされており、動脈硬化の予防効果が期待されています。
まとめ
レスベラトロールはさまざまな経緯でからだに作用している。
レスベラトロールは、赤ワインやぶどうの果皮、ピーナッツの薄皮などにふくまれるポリフェノールの一種。
レスベラトロールは、サーチュイン遺伝子を活性化する。
サーチュイン遺伝子は長寿遺伝子とも呼ばれており、活性化によって寿命がのびることが期待されている。
サーチュインには、SIRT1、SIRT2・・・SIRT7までの7種類が見つかっており、これらのなかで、レスベラトロールは、SIRT1を直接的に活性化するといわれている。
レスベラトロールの抗酸化作用、サーチュイン活性化、AMPキナーゼ活性化などが報告されている。
レスベラトロールは、くすりのように作用するものではない。
適切な運動習慣、食事習慣などが基本としてたいせつ。