野菜とオイルと脳

野菜とオイルと脳

脳には1,000億個以上の神経細胞があって、全身の基礎的な消費カロリーのうち20〜25%が脳で消費されているほど活発に活動しています。脳の機能や健康を維持するためには、バランスのよい食事で必要な栄養素をしっかりと摂取することがたいせつです。

オメガ3系脂肪酸と脳機能の向上

脂質のなかでも、オメガ3系というグループに分類されるDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)といった脂質は、認知症の予防や脳機能の維持・向上に役立つといわれています。

じつは、ひとことで脂質といっても、食肉におおくふくまれている飽和脂肪酸、オリーブオイルにおおくふくまれている一価不飽和脂肪酸といったように、いくつもの種類があります。

そのなかで、認知症の予防や脳機能の向上のためには、オメガ3系に分類されるDHAやEPAの積極的な摂取が効果的だといわれています。

脂肪酸の分類と食品例

分類オメガ系種類ふくまれる食品例
飽和脂肪酸パルミチン酸牛脂、豚脂
ステアリン酸
一価不飽和脂肪酸オメガ9オレイン酸オリーブ油
多価不飽和脂肪酸オメガ6リノール酸大豆油、コーン油
オメガ3α-リノレン酸エゴマ油、アマニ油
EPA
DHA

脳はおもに脂質からできています

オメガ3系脂肪酸は、脳の機能低下をおさえていろいろな神経疾患を改善するといわれています。

とくに、脳の組織におおくふくまれているDHAは、生きているかぎりずっと脳機能の維持に必要なものです。

脳は、乾燥重量の約60%が脂質でできています。そして、脳を構成する脂肪酸のうち11%がDHAだということからも、その重要性を知ることができます。

脳はおもに脂質でできている

☑脳の乾燥重量の60%が脂質

☑脳を構成する脂肪酸のうち11%はDHA

☑DHAは年齢にかかわらず脳の機能維持に必須

オメガ3系脂肪酸の摂取不足は、脳の発達障害、うつ病、認知症の発症とふかく関係しているといわれています。また、赤血球中のDHA値が低いことは脳の老化促進や認知症の発症に関係しているといわれています。

脂質のじょうずな摂りかた

飽和脂肪酸は、動物性の脂肪に多くふくまれています。体内で合成可能なので必須脂肪酸ではありません。また、厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2020年版)』では、生活習慣病の観点から摂りすぎには注意が必要だとされています。

多価不飽和脂肪酸のオメガ3系とオメガ6系はともに必須脂肪酸ですので、食事から摂取する必要があります。

ですが、オメガ6系は食用油や加工食品にふくまれていることがおおいので、通常不足することがないといわれています。

もしすでに飽和脂肪酸やオメガ6系を摂りすぎている場合、そこへさらにオメガ3系の脂肪酸を摂ると脂質の摂りすぎやカロリーオーバーになってしまいます。
その場合は、飽和脂肪酸やオメガ6系の摂取を減らすようにして、減らしたぶんをオメガ3系で補うようにするといいでしょう。

野菜と認知症

認知症は、脳の病気や障害などによって、記憶力、計算力、遂行力などの認知機能が低下することで、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。
たとえば、アルツハイマー型認知症は、脳の一部が萎縮していくことでおきる認知症です。

認知症の発症には高血圧症、糖尿病、動脈硬化、炎症などが関連しているとされています。そのため、認知症は生活習慣病の1つともいわれることがあります。
「認知症は生活習慣病の1つ」といわれることからも、予防には健康的な食習慣や適度な運動習慣がたいせつです。

食事の面でいうと、野菜はポリフェノールなど抗酸化作用をもつ成分が豊富にふくまれていて、積極的な摂取が認知症のリスクを下げるといわれています。
野菜やくだものの摂取に認知症の予防効果があることが報告されています。

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