サーチュイン遺伝子は、長寿遺伝子ともよばれています。人のカラダのなかでサーチュイン遺伝子の働きがわるくなると、いわゆる老化が進行してしまいます。
10代や20代では、サーチュイン遺伝子は十分に活性化して働いていますが、一般的に加齢にともなってその活性化はどんどん低下していきます。
サーチュイン遺伝子が十分に働いているときは、細胞は元気な状態に維持されて機能しますが、活性化が低下して働きがわるくなると細胞のDNA損傷が修復されず機能が低下していくことになります。
つまり、一般的に、加齢にともなってサーチュイン遺伝子の活性化が下がっていくことを考えると、これが老化の1つの側面だということがいわれています。
サーチュイン遺伝子が活性化することで、損傷したDNAの修復などがおこなわれるために、細胞がわかがえって適切に機能するようになります。これによる若返りや寿命延伸の効果などが期待されることからサーチュインは注目をあつめています。
また、肥満、糖尿病、高血圧、心血管疾患、認知症などはおもに加齢にともなってその発症リスクが高まります。これらも、サーチュイン遺伝子が十分に働かなくなったことにより、DNAの修復が追いつかなくなることで内蔵や心血管の細胞機能が低下してくためではないかとも考えられています。
サーチュイン遺伝子を活性化させる
適度なストレスが、サーチュイン遺伝子が活性化させます。
適度なストレスとは、適度な運動、カロリー制限、間欠的な絶食などです。
アカゲザルにカロリー制限をすることで、寿命が延伸されることが報告されています。
アカゲザルの寿命は最大で40歳ということが知られていました。アカゲザルにカロリー制限をしたところ、20頭のうち6頭が40歳まで生きたことが報告されています。人でいうと120歳に相当します。
また、カロリー制限による寿命の延伸は、高齢になってから開始しても効果があるといわれています。ただ、開始時期が早ければ延伸幅は大きいと報告がありますので、早く始めればそれだけ効果は高いといえます。
カロリー制限によって、サーチュイン遺伝子が活性化され、それによって寿命が伸びることがわかっていますが、それにしても、通常よりたとえば20%のカロリーを減らして一生すごすのは、多くの人にとって現実的ではありません。
そこで注目されてたのが、レスベラトロールという栄養補助食品です。
レスベラトロールは、赤ワイン、ぶどうの果皮、ピーナッツなどにふくまれるポリフェノールの一種で抗酸化作用があることで知られていて健康増進効果が期待されている成分です。
このレスベラトロールには、サーチュイン遺伝子を活性化させる働きがあることが報告されています。
各種の研究では、レスベラトロールの摂取によってがん、心臓病、脳卒中、炎症性疾患、切り傷などに対して予防効果を示したことが報告されています。
ただし、レスベラトロールは人間の消化管内でよく溶けるわけでなく、特別に高いくすりのような効果があるわけではないこともわかっています。